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みんなのゲノム

みんなのゲノム通信 〜Vol.22〜

みんなのゲノム通信
こんにちは!みんなのゲノム通信です。
このメールマガジンでは、個人のゲノム情報を個人に帰すること、「ゲノム医学をみんなの手に」を合言葉に、ゲノムに関する様々な情報をみなさまにお届けして参ります。

今年4月、元キャンディーズで女優の田中好子さんが乳がんによりお亡くなりになりました。笑顔のやわらかい素敵な女性でしたが、田中さんは29年前に見つかった乳がんと長い間、闘っていました。
現在日本では、40歳以上の女性に乳がん検診を行うことが推奨されています。遺伝子検査で乳がんになるリスクが高いことがわかれば、積極的に検診をうけるなどご自身の体について注意深くケアしていくことが可能です。
QOL(ライフスタイルの質)を維持するためにも、予防医学についてぜひ一緒に考えてみませんか。

本号のラインナップ
  1. 遺伝子検査について
    • そもそも遺伝子って何?
    • 遺伝子検査が教えてくれること
  2. 連載コラム〜Dr.レポート〜
  3. BIV-deCODEmeからのお知らせ
遺伝子検査について

まず は、右の表をご覧ください。
疾患には、環境により100%影響を受けるもの(例:食中毒)や、遺伝要因により100%影響を受けるもの(例:ハンチントン病)、さらに両方が関わって発症するものとがあります。

遺伝要因が100%左右する疾患は、個人の力で解決できるものではありませんが、環境要因と遺伝要因が相互に影響する疾患(多因子疾患という)に関しては、続く図を見てみるとわかるように、生活スタイルを変えることで疾患に罹るリスク(罹患リスク)あるいは罹患した場合の重症度をコントロールすることができます。

そこで、登場するのが 遺伝子検査なのです。

※本メルマガで"遺伝子検査"として定義しているものは、ヒト遺伝学的検査(詳細は次号にて)を指します。
そもそも遺伝子って何?
あなたの遺伝情報は、DNAとよばれる2重らせん構造の分子に刻まれています。
DNAは、「A」「C」「G」「T」という4種のヌクレオチドからなる鎖です。

ヒトは約30億のヌクレオチドを持っていますが、この「A」「C」「G」「T」の順序が生物の種を特徴づけ、作り上げていきます。 DNAにおいてとても重要な役割を担った領域が遺伝子と呼ばれ、1つまたは数個の遺伝子によって、眼の色や肌の色など遺伝的な違いが生まれるのです。 ちなみにヒトは約2万〜2万5千の遺伝子を持っています。
99%以上のDNAを共有しているのですが、100〜300塩基毎に1塩基程度の割合で、その個人を特徴付けるような違いが見られ、これをSNP(Single Nucleotide Polymoprhism、一塩基多型、スニップ)と呼びます。
多くのSNPが個体間で違いを表わさない一方で、青い眼や茶色の眼のような見た目の違いを生み出したり、SNPの組み合わせによっては、特定の疾患やある種の薬に対する反応に影響すると考えられています。
DNAは、細胞中にある染色体と呼ばれるものに存在し、一般にヒトはこの染色体を23対持っています。
遺伝子検査が教えてくれること
遺伝子検査には、いくつかの種類があります。
大きく分けると、検査を受ける事でほぼ確実に発症を予測できるものと、罹患リスクを予想するものがあります。前者には以下のものがあります。
  • ハンチントン病とよばれる遺伝病があります。ハンチンチンとよばれる遺伝子内にある、CAGの配列の繰り返し回数を調べることで、発症予測、重症度予測をすることができます。
  • ダウン症とよばれるものは、通常2対ずつある染色体のひとつ(21番染色体)が3本あることで先天異常を示すものです。妊娠16週〜18週に妊婦から羊水を採取して検査します。
一方、多因子疾患に関する検査は、あくまでも罹患リスクを予測するもので、代表的なものにSNP解析があります。
  近年、多くの企業や団体がSNPをもとにした遺伝子検査サービスを提供するようになりました。
サービスにより、わかる(ここでは、わかる=診断という意味ではなく、結果として見られるという意味)情報は様々ですが、一般的には、以下のような情報が提供されています。
体質(特定の化学物質に対する受容性や代謝能力、肥満になりやすさなど)
体質を把握することで、より自身の体質に合った生活習慣の形成・医療サービスの選択を可能にします。
疾患リスク
疾患の発症リスクというものは環境要因と遺伝要因で決まります。遺伝リスクを把握することで、生活習慣 の早期改善や、人間ドックまたは特定の疾患の検査頻度の調整(※お医者様とご相談ください)、保険契約の見直しなどに役立てることもできるでしょう。遺伝子検査によって、予防医療を自らの管理のもとで実践することが可能になります。
祖先
日本人の祖先を辿ると9人の女性に行き着くと言われています。(参考:Bryan Sykes(2003), "Adam's Curse: A Future Without Men" ) 祖先解析により、人類の中でご自身がどの遺伝的グループに属するかがわかります。意外な国の人々と近縁であることに驚かれることもあるでしょう。祖先解析を通じて、国境を超えた遺伝子の繋がりと、10万年前のアフリカに始まる人類の壮大な旅の歴史に思いを馳せてみるのもいいかもしれません。
才能
足が速くなるとか音楽のセンスがあるといったような才能、資質を知り、子供の教育に役立てようという取り組みですが、これについては科学的根拠に乏しいものが多いようです。
これらのサービスがどの程度のSNP数をもとに検査結果を示しているのか、また検査結果自体、再現性(ある集団や研究で明らかになったことが、他の集団にあてはめてみて同じ結果を得られるのかどうか)がとれているのかなど信頼度や質が様々であることに気をつける必要があります。共通して言えるのは、これらの検査結果は確定診断とは違い、あくまでも可能性を示したものだということです。
利用者が判断する目を養い、最適と思われるサービスを選べる知識を得られるように、みんなのゲノム通信ではこれからもみなさまに有益な情報を提供してまいります。
連載コラム〜Dr.レポート〜
このコーナーでは、専門家による最新のゲノム医学や遺伝子検査についての詳しい解説などを取り上げていきます。
第1回目のDr.レポートは、deCODE genetics社がNature Geneticsに寄せた"Sick Sinus Syndrome(洞不全症候群)に関する発表について埼玉医科大学ゲノム医学研究センター所長の岡崎教授が解説します。
deCODE genetics社は、アイスランド、オランダ、デンマーク、そしてアメリカのアカデミア研究者ならびにイルミナ社と共同で、洞不全症候群発症のリスクに深く関係する一塩基多型(SNP)の発見について報告しました。

この研究では、アイスランド人においてMYH6遺伝子内に存在する変異が洞不全症候群発症リスクに深く関係していることが報告されました。この変異を持っていない一般人が一生の間に洞不全症候群を発症する確率(生涯罹患率)は約6%です。しかしこの変異を持っている場合はその12.5倍の確率(約50%) で発症します。洞不全症候群は、心拍数が遅くなる(徐脈)心臓の障害であり高齢者に多く見られ、失神発作を起こすこともありペースメーカーが必要となる場合もあります。

今回の研究は、洞不全症候群患者792人と、健康な37,592人のアイスランド人を対象に行なわれました。SNPチップによる遺伝子タイピングに加え、7人の発症者と80人の健常人の全ゲノム配列など、複数のデータを活用しました。全ゲノム配列データでは、MYH6遺伝子の稀なミスセンス変異と洞不全症候群の間に強い関連性が認められました。MYH6は、心筋の収縮に関わる筋肉の主要な成分であるミオシンの一種をコードするタンパク質であり、心臓の伝導系の働きとも関係することが分かっています。MYH6が心臓のリズム障害に関わることは、初めての報告となります。

これまでの研究では、一般によく見られる病気というのは、多くの人にみられる共通の多型が関与することが報告されてきましたが、今回の結果において一般に よくみられる病気に対しても稀な変異が関与し、その場合の危険度は非常に高くなることを初めて示した点で重要です。今後は、全ゲノム配列情報を用いること により、稀な変異を用いてより多くの疾患のリスクが予測できるようになり、疾患の診断においてより重要な意味をもってくるものと考えられています。

(埼玉医科大学ゲノム医学研究センター所長 岡崎康司)


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2011年7月18日 23:31

50項目の疾患リスク・体質の測定に特化した新しいサービス、「BIV-deCODEmeフルスキャン」

 

2011628

7月より、「BIV-deCODEmeフルスキャン」のブランドで、50項目の疾患リスク・体質の測定に特化した新しいサービスを提供することとなりました。詳細は追ってお知らせします。どうぞご期待ください。

written by admin

2011年6月28日 21:24